数値流体解析

コンピューター上に街と風を再現し、風の流れを計算で解くという技術です。風の流れや風速の分布を3次元で見える化できるため、より感覚的に風の変化などを把握できます。設計の初期段階や風洞実験の事前検討として活用されるケースが多くあります。

風の見える化

数値流体解析が実務に使えるようになったのは、比較的最近のことです。精度の面では風洞実験の方が勝るというのが現状ですが、風の流れ場の見える化という面では非常に優れています。強い風がどこから吹いてくるのか視覚的に把握できるので、設計支援ツールとして活躍します。

数値流体解析は、3DCADによって作成した街並みの3Dモデルをコンピューター上の空間に配置し、空間を細かな格子で分割して、流れを記述する方程式を数値的に解くことによって値を得ます。計算するのはコンピューターですが、確からしい結果を得るためには、専門的な知識が不可欠です。そのため、私たちは数値流体解析の活用のみならず、開発研究も盛んに行っております。

仮想空間だからこそできる風の解析

風洞実験では縮尺模型を用いるのに対し、数値流体解析では3DCADモデルを用います。縮尺模型の形状変更に比べると、3DCADモデルの形状変更の方が容易であることから、設計の初期段階においては、数値流体解析を用いて様々な建物形状を検討することが行われています。また、数値流体解析はセンサーを必要とせず、3次元的な風の流れを計算し、可視化することができます。

仮想空間上で様々な方向から都市と風を眺めることで、現象をより直感的に理解し、設計に役立てることが可能です。また、数値流体解析は、汚染物質の拡散状況などを把握することにも大変役立ちます。精度の面からは、風洞実験結果との比較も欠かせませんが、年々、その技術は向上しています。

  1. 01

    風環境関連

    高層ビルや大規模な構造物を設計するときに、構造物に起因する風害を予測して、対策することは大変重要なことです。風洞実験の方が予測精度が高いといえますが、最近では風洞実験の結果と数値流体解析の結果の差が徐々に縮小しています。風洞実験を行う前に、特に設計の初期の段階においては、時間をかけて数値流体解析を行い、建物形状の影響や工作物の影響など、様々な検証を行いながら設計を進めることが大型物件では行われています。

  2. 02

    大気拡散関連

    風洞実験と数値流体解析を比較したときの数値流体解析の優位点の一つに複数の流体を簡単に与えることが挙げられます。例えば、汚染物質がどのように拡散するのか、そして、その濃度はどの程度なのか、風洞実験でも可能ですが、拡散の実験は風洞実験の中でも比較的高度な実験で、空気以外の気体も取り扱うことになりますので、たやすくは行えません。また、風洞実験では、濃度を点で計測するために、定量的には調べることが出来ますが、拡散する状況を目視することは、数値流体解析の方が優れています。

  3. 03

    風洞気流の再現

    数値流体解析の進化は、コンピューターの計算速度の向上と関係しています。計算時間はかかりますが、技術的には数値流体解析の結果は、風洞実験の結果に肉薄するようになってきました。風速の分布を比較すると、風洞実験を再現した数値流体解析の結果は、風洞実験の結果と概ね同程度の結果となっています。

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